旧ソ連・バルト三国を駆け足で(2)肉体の音楽@リトアニア

リトアニアの首都ビリニュスでは、列車で到着した脚ですぐ国立オペラ・バレエ劇場を訪れ、その夜のバレエのチケットを買った。1階後方で1席25リタス。日本円で約750円と安い。もちろん物価の安さはある。が、その夜、ピザチェーンでパスタ2皿、スモークサーモン入りサラダ、ビールとジュースを頼んで46リタス(約1400円)だったのと比べても、安い。

リトアニアの首都ビリニュスにある国立オペラ・バレエ劇場

ソ連時代、バレエを始めとする芸術には手厚い保護があったとされるから(もちろん体制にとって不都合でない限りにおいて)、その流れが受け継がれているのだろう。

午後6時半、開演。午後6時過ぎから、着飾った地元の人たちでにぎわい、劇場は華やいだ雰囲気となった。開演前にスパークリングワインを1杯。

演目はチャイコフスキーの「白鳥の湖」。大人になってから初めてのバレエの感想(興奮気味の直後の記録による)は次の通りだ。

 

 

音楽そのものに、人がなる
五線譜を流れるように、羽ばたくように

加えて、役柄そのものになる
王子なら王子に、白鳥なら白鳥に

音楽が肉体をまとう
内側から脈打つ
指先から爪先まで音楽が支配する

けっしてぶれない回転の軸。永遠に回り続ける独楽

この日のプリマドンナは国立劇場所属の日本人バレリーナ、浜中未紀さん。
http://www.opera.lt/en/about-the-theatre/ballet-soloists/principal-soloists/miki-hamanaka

国籍、人種などを軽く超えて、優れた技巧でヒロインを演じきり、踊りきり、「ブラボー!」の喝采を浴びていた。

比較的気軽に高いレベルの芸術が楽しめるというのは、「豊かな国」に必須の一要素ではないだろうか。さて、日本はどうでしょうか。

旧ソ連・バルト三国を駆け足で(1)総括

エストニア(首都タリン)、ラトヴィア(首都リガ)、リトアニア(首都ビリニュス)のバルト三国を6泊7日で巡った。いずれも旧ソ連の国々だが、1940年になってソ連に併合され、ソ連崩壊前に独立を宣言し、いまやEU加盟国である。

ラトヴィアの首都リガ中心部。手前は旧市街。左手奥にやや小ぶりなスターリン建築がそびえている

フェリー、飛行機、列車、バスを駆使したものの、一カ国あたり2日間弱の滞在では大いに限界がある。観光客であるので、中世の城や教会、館を中心とした旧市街を主に歩いた。日本で言えば、東京と京都の一部だけ訪れたようなものだ。

3首都に関して言えば、ロシア語が頻繁に聞こえてくる一方で、看板やメニューにロシア語表記は少なく、言語を巡る政治的意思を感じさせる。旧市街は石畳に覆われ、教会がそびえ、中心に広場が位置する。まさに欧州の街並みだ。カフェも数多い。紅茶よりはコーヒー文化のようだ。ビールもうまい。

一方で、中心部にロシア正教会やスターリン建築が鎮座する。都市交通の要は、旧ソ連各国に共通する電動トロリーバスである。黒パンを発酵させた飲み物「クバス」が売っていた。旧ソ連、ロシア文化圏の顔もあるのだ。

百科事典等によれば、エストニア、ラトヴィアはドイツなどの支配を長く受けてきた。リトアニアは大公国として広大な版図を誇った歴史もあり、他2カ国とは異なる。

だが、18世紀以降、3カ国とも帝政ロシアの支配下に入り、1917年のロシア革命後にドイツ、ソ連軍の侵攻を受けつつも独立を達成。30年ほど独立国として存在するも、独ソの秘密協定でソ連の勢力圏と勝手に規定され、1940年に相次いでソ連に併合されてしまう。

直後の1941年の独ソ開戦により、ナチスドイツに侵攻され、3年間ほど占領されるが、1944年には反攻に転じたソ連軍の手中に。ナチスドイツ支配下ではユダヤ人の強制連行や虐殺が行われた。ソ連支配下に入ってからは、パルチザンを中心に大量の国民が処刑やシベリア流刑の憂き目に遭った。

ソ連末期の1990年~91年に独立を宣言し、2004年にそろってEUへ加盟した。

陳腐な表現ではあるが、まさに激動の歴史にもまれてきた3カ国だ。島国の民族からは想像も出来ないような、めくるめく支配者や領域の変遷。これぞ欧州の歴史なのだろう。そして現代史においてまで、バルト三国は独ソ2大国の狭間でもみくちゃにされてしまう。

今、首都を歩くと穏やかで活気があり、治安も悪くない。国民にとっては、ようやく、ここまでたどり着いたという心境なのだろうか。

※以下、メモとして(百科事典や地球の歩き方より)

【エストニア】
フィンランドの首都ヘルシンキからフェリーで2時間の対岸に首都タリンが位置するエストニア。住民はフィン系が中心だ。デンマーク、ドイツ騎士団、スウェーデンに支配された後、ピョートル大帝以降、帝政ロシア領に。ロシア革命後の1918年に独立するも、1940年にソ連に併合されてしまう。独ソのモロトフ・リッペントロップ秘密協定で勝手に線引きされた勢力圏に基づくものだ。今もロシア系住民が人口の4分の1を占める。ナチスドイツに占領されるが、1944年、再びソ連が占領する。

【ラトヴィア】
13世紀にドイツ騎士団が征服。首都リガがハンザ同盟都市として商業で栄える。16世紀からポーランド、スウェーデンに相次いで侵略され、やはりピョートル大帝以降、帝政ロシア領に。第一次大戦で一時、ドイツに占領され、ソ連軍も侵攻するが、1919年に独立。しかし、こちらも独ソ秘密協定により、1940年にソ連に併合される。ナチスドイツに占領されるが、1944年、再びソ連が占領する。

【リトアニア】
大公国として歴史に登場し、14世紀にはポーランドと連合を築いた。15世紀には、現在のウクライナ、ベラルーシ、ロシアの一部をも含む大国となった。だが、その後、ポーランドに事実上、吸収されてしまう。1795年に帝政ロシア領に。第一次世界大戦ではドイツ軍の侵攻を受け、占領下で独立を宣言。独ソ秘密協定により、1940年にソ連に併合される。ナチスドイツに占領されるが、1944年、再びソ連が占領する。

В парикмахерскую ―床屋へ

Сегодня после занятии я ходил в маленькую парикмахерскую, которая находится рядом с домой. Я ходил туда  первый раз 2 месеца назад. Сначала я показал парикмахеру фотографию моего лица, чтобы она хорошо узнала мою обычную причёску : стрижка под бокс.

Сразу она взяла машинку, и начала стричь. Она остригла почти  ВСЕ МОИ ВОЛОСЫ. Тогда у меня блитая голова. Отлично! Она видела серьёзно мою фотографию? Наверное, нет. Но ладно. Для меня та случайность была второй раз. Самая хорошая причёска для учёбы – блитая голова. Я считаю так.

久々に床屋へ行った。学生証の写真(上部が少し長い短髪)を見せて「こんな感じで」と。すぐさま、おばちゃんはバリカンを手に取り、ためらいなく一気にいった。瞬時に「またか!」と思った。そう、前回も全く同じパターンだった。

写真、見てないのか?

が、「まあ、いいや」とこちらも気を取り直す。むしろ清々しいや。20分足らずで完璧な坊主頭になった。ロシア語修行僧にぴったりだ。少しだけ不思議なことには、全く同じ流れだったのに、前回は前髪だけちょっと長いユーリ海老原風だったのに、今回は丸坊主だということ。おばちゃんのフィーリングだろうか。

そんなことは、このロシアの広大な母なる大地に比べれば実に小さい、小さい。

ロシアの「奈良」、ノヴゴロドへ ―В Новгород

日本(大和民族)の都はごく大ざっぱに言えば、奈良(平城京)、京都(平安京)、東京(江戸)である。ロシア(ルーシ:Русь)の都はごく大ざっぱに言えば、ノヴゴロド、キエフ、モスクワ、サンクトペテルブルグである。奈良の平城京は710年に成った。「新しい都」を意味するノブゴロドは862年に公国と成り、都と成った。今年は1150年の節目である。ノヴゴロドはロシアの「奈良」である。ペテルブルグから日帰りバスツアーで見に行ってきた。これにより、ルーシの主な都(古都)は制覇した。

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ヴォルホフ川(Волхов)とクレムリ

                   ノブゴロドを最初に治めたのは、海の民「ヴァリャーグ」(バイキング)出身のリューリクという人物とされる。日本史用語で言えば、よそからやってきた「渡来人」である。以後、1600年代初頭まで、このリューリク王朝がルーシを治めた。最後は帝位を巡る争いで王朝が断絶し、1613年、名門貴族ロマノフ家から若きミハイルがツァーリに選ばれ、ここにロマノフ王朝が誕生する。日本では関ケ原の戦いを経て、徳川家康が1603年に江戸幕府を開き、豊臣家から徳川家に実権が移った頃である。

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ノヴゴロドの中心部には、ヴォルホフ川(Волхов)のほとりにクレムリ(城塞:Кремль)があり、中には主要な教会がある。この造りは、モスクワなどロシアの古い都市に共通する。

ノヴゴロドのクレムリ(城塞:Кремль)

 

 

 

 

 

 

 

 

ノヴゴロドのクレムリ内には、ロシア最古の建物とされる「ソフィア大聖堂」(Кафедральный Софийский Собор)がある。1045年建造だ。キリスト教(ギリシャ正教:Православие)を受容したウラジーミル聖公が建設した。今も信仰の場として生きており、信徒たちがローソクを捧げ、イコンにキスをしていた。

壁のフレスコ画の多くは修復や復元されているようだったが、一部だけ建造当時のものが残されていた。とても素朴な人物画で、高松塚古墳(700年ごろ、平城京の前の藤原京時代)の壁画を思い出した。

奈良には、仏教を深く信仰した聖武天皇が745年に創建した東大寺がある。護国之寺である。本尊・盧舎那仏=奈良の大仏は752年に開眼供養された。大仏殿は木造のため、たびたび焼け、現在のものは1709年に再建された。世界最大の木造建築である。ちなみに日本へ仏教が入ってきたのは、百済より538年という。聖徳太子が興隆させた。

ソフィア大聖堂も東大寺大仏殿も、どちらも世界文化遺産に含まれる。どちらも窓が少なく、薄暗い。薄暗さの中に神聖さと荘厳さが表現されているようだ。

「ソフィア大聖堂」(Кафедральный Софийский Собор)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中世に貿易で栄えたノヴゴロド公国では、「議会」に類した制度があり、また、庶民に至るまで白樺の皮を紙代わりに手紙を書いていた。薄い樹皮に文字を刻みつけていたのである。一種の共和国であったという。

最終的には、同じルーシの中で力を増したイワン大帝(イワン3世)のモスクワ公国に1478年、併合される。イワン大帝はルーシ最初のツァーリ(皇帝)を自称。さらにイワン雷帝(イワン4世)が登場し、専制政治の伝統が培われた。

ノヴゴロドの歴史には、「帝政ロシア」ではない「共和政ロシア」の可能性が示されていて、興味深い。

ロシア1000年記念碑(Памятник Тысячелетие России)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考文献】
▽ガイドのおばさんの話
▽地球の歩き方「ロシア」(ダイヤモンド・ビッグ社)
▽新版世界各国史「ロシア史」(山川出版社)
▽電子辞書の広辞苑、ブリタニカ国際大百科事典等
▽ロシアNOW/1951年の今日、古都ノブゴロドで最初の白樺文書を発掘http://roshianow.jp/articles/2012/07/26/38203.html

「本田選手と伝言ゲームと脊髄反射」考

現在、ロシア・モスクワのチームに所属するサッカー選手、本田圭佑氏(26)。本田選手に対する日刊スポーツの独占インタビュー記事(今月6日付紙面)が、日本で若い世代を中心に反響を呼んでいるようだ。愛国心を語るに際して、韓国サッカー代表選手の五輪での竹島(独島)アピール問題に触れているためだ。

ここに、海外報道における課題(伝言ゲーム)と、日本のネット社会の課題(脊髄反射)が浮き彫りになっていると見受けられるので、以下、愚考してみた。

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日刊スポーツのHPには以下の通り、短い概要だけ掲載されており、全文は紙面のみに掲載されたようだ。
(※紙とネットという2つの媒体を巡るマスメディアの葛藤が示されている。が、また別の話だ)

★【16日追記】★9月14日になって、全文が日刊スポーツのHPに掲載された。今回の騒ぎを受けてなのか、もともと紙面掲載から一定の期間が経ったらHPに載せる予定だったかは不明。即売中心のスポーツ新聞にとって、当初「紙面のみ掲載」という判断は間違っていないと思うが、特ダネを取った場合にいかにアピールするか、ネットを活用できるかという課題がある。http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/p-sc-tp2-20120914-1016306.html

◆本田が「日本」を熱く語る!6日付紙面
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/f-sc-tp2-20120906-1012249.html

HPの概要では、本田選手の言葉は

「今のオレたちは何も築いていない」「単に自分の国を愛しているか?―という気持ちを比べると、日本は韓国よりも劣ってるんじゃないか、という気持ちにさせられた」

とだけ引用されている。

が、全文を書き起こしてネットにアップした人がおり、以下のサイトで読める(著作権法上はアウト、だろう)。

◆【これが本田の竹島発言の真相だ!】日本代表MF本田圭佑「日本」を熱く語る!「本当にいい国だとあらためて思う」
http://calciomatome.seesaa.net/article/290852801.html

その中から興味をひかれた発言を抜粋してみる。

『そろそろオレたちの世代が、本物が評価される時代をちゃんと作り出すべきだと思う』
『オレがいう本物とは政治家のことであったりする。彼らは税金から給料を得ているわけだし、本物であるべきだと思う』
『オレがいいたいのは、日本では日本の政治家こそがスターであるべきだってこと』

日本政治の現状を危惧しているようで、「本物の政治家よ、出でよ!」という思いがよく伝わる。

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ところが、前段の竹島問題に触れた部分が特に注目を集めた。政治に関する考えを述べる前に、愛国心に触れている。その中で竹島に触れているのだ。その部分を丸ごと引用する(大事な部分に★をつけた)。

『オレは愛国心というのか、そういう気持ちが強い。例えば、いい悪いは別にして、この間のオリンピックの竹島の問題がある。韓国の選手が試合後にボードを持った。いい悪いは別として客観的に見たら、★彼は韓国を愛しているんだな、と思った。★オレは日本を愛している。もしかしたら同じ状況になれば、★同じように行動したかもしれない。それはその場になってみないとわからないことだけど。勝ち負けという観点からすると、韓国人が韓国を愛する気持ちに、日本人は負けているんじゃないか。これは政治的な問題ではない。★単に自分の国を愛しているのか?という気持ちをくらべると、日本は韓国より劣ってるんじゃないか、という気持ちにさせられた』

ロンドン五輪で「独島は我々の領土」とのボードを掲げた韓国選手について、『彼は韓国を愛しているんだな、と思った』とまず率直に語る。この段階で、本田選手が極めて冷静に客観的に状況を眺めていることが分かり、好感を得た。

その上で、自らの愛国心の強さについて、『オレは日本を愛している。もしかしたら同じ状況になれば、同じように行動したかもしれない』と表現した。『その場になってみないとわからないことだけど』と留保をつけて。

韓国選手が何を考えて今回の行動をとったのか、愛国心だ、と。であれば、自分も愛国心の強い日本人として、愛国心を示すために同じような行動をとる可能性がある、というわけだ。論理的であって、なるほど本田選手は愛国心が強く、日本人の愛国心の弱さを憂えているのだなと了解する。

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さて、ここから話が若干ややこしくなる。韓国有力紙「朝鮮日報」が、日刊スポーツのインタビュー記事を引用報道(※業界用語で転電という)したロイター通信の記事を引用して、以下のような記事を掲載した。

★サッカー:本田、朴鍾佑の独島セレモニーを擁護(朝鮮日報日本語版)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/07/2012090700472.html

冒頭を引用する。

「オレもそうしていたと思う」。サッカー日本代表のエース、本田圭佑(26)=CSKAモスクワ=が、朴鍾佑(パク・チョンウ)=23、釜山=の「独島(日本名:竹島)セレモニー」を擁護する発言を行い、注目を集めている

本田選手のインタビュー記事全文をきちんと読めば、「擁護」とは言えないはずだ。「一定の理解を示した」とは言えるかもしれないが。

ここに至った発言の流れを整理する。

(1)本田選手→(2)日刊スポーツ(全文=日本語)→(3)ロイター通信(日刊の引用報道=英語)→(4)朝鮮日報(日刊の引用報道の引用報道=韓国語)→(5)日本語へ翻訳

なんという伝言ゲームだろう。

もちろん文章だから「伝言」よりはましなはずだが、言語は日本語→英語→韓国語→日本語と3回翻訳され、出発点の本田選手から最後の朝鮮日報日本語版までには4回の転送を経ている。

となれば、最後の朝鮮日報日本語版が最初の本田選手の発言のトーンと変わってしまったのも分かる。もちろん良いことではない。朝鮮日報は東京に特派員がいるのだから、特に神経を使うべき領土問題においては在京特派員が自身の手で翻訳し、引用して記事を書かなければいけない。そうしていれば、トーンの違いはここまで大きくならなかっただろう。

これは他山の石にすべき事例である。

ロイター通信の記事も検索したらすぐに見つかった。読むと、ニュアンスが変わってしまった原因はロイター通信にもあったと思える。特に「backed=支持される」という見出しと「earned respect=敬意を表される」という冒頭だ。中身を読むと、部分的だが比較的正確に日刊スポーツの記事を引用しているようである。

★Soccer-Korean’s Olympic stunt backed by Japan’s Honda(サッカー:五輪での韓国の扇情的行為を日本の本田が支持)
http://www.reuters.com/article/2012/09/06/soccer-honda-korea-idUSL4E8K61MM20120906

冒頭は以下の通りである。

―The South Korean soccer player who inflamed a diplomatic row with Japan by waving a political flag at the London Olympics has earned respect from unexpected quarters – Japan’s Keisuke Honda.

『ロンドン五輪で政治的な旗を振り、日韓の外交紛争をたきつけた韓国のサッカー選手が、意外な方面から敬意を表された。日本の本田圭佑だ』

―”I love Japan. Perhaps if I was in the same situation I would have done the same thing. You don’t know until you are in that situation.

『俺は日本を愛している。あるいは、もし同じ状況になったら、同じ事をしていたかもしれない。そのときになってみないと分からないけれど』

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日本のネットをざっと眺めてみると、こんなコメントがあった。

「発言の一部だけ抽出するだけで伝えたいことがまるで変わるな」

これは本当にその通り。しかも引用と翻訳を複数回重ねたのが上記の結果である。

だが、

「マスゴミは不要」「マスゴミってやっぱり怖いわ 」
「これを一部だけ切りとって悪意のある編集するとか、日本のマスコミ本当に危ないよね」

最近ありがちな反応ではある。

しかし、考えてみてもらいたい。そもそもの本田選手の全文インタビューを伝えた日刊スポーツはまごう事なきマスコミである。マスコミである日刊スポーツが介在しなければ、本田選手のインタビューはここまで多くの人の目に触れていなかったのではないか(紙の新聞からネットへの全文引用という問題はあるにせよ)。

そして、最後の誤った解釈を掲載した朝鮮日報は「日本の」マスコミではなく「韓国の」マスコミである。

引用元がどこであるか、どういう変遷を経てきたかは、ネットを検索すれば簡単に分かる。そもそも、記事を読んだのであればそこに発信源も引用元も書いてある。それがマスコミの基本的なルールだからである。記事は長さに限界があるし、そもそも情報は常に取捨選択され、編集されるものであることを理解しなければならない。

しかし、ネットで話題になっているものをぱっと見て、ぱっと反応して、「マスゴミ!」と捨てぜりふだけ残して日常生活に戻る人たちが、今の日本に少なからずいる。彼らには日刊スポーツの本田選手インタビューから以下の言葉を贈ろう。そして、もちろん自戒もしたい。

『今は、何でもネガティブにとらえ、悪いところをクローズアップしてしまう。これは日本の悪いところだと思う。もっと素直にならないといけないし、もっと謙虚にならないといけないと思う』

“Разница Между Европой и Азией” ―「欧州とアジアの違いについて少々」

※日本語は下に

Сегодня первый рабочий день в сентябре. Новая индивидуальная преподавательница начала учить меня. И я начал учиться в новой группе.

Эта группа более трудная, чем старая группа. Но ладно потому, что я хорошо знаю преподавателю, который преподаёт в этой группе. Он умный и опытный.

Посль занятий я немножка разговаривали с немецким студентом. Я спросил его, зачем начал изучать русский язык. (Считаю, это самый типичный вопрос для студентов, изучающего русский язык.)

Немного подумав, он ответил.

“Я уже могу говорить по-английски, по-французски, по-итальянски. Так как они похожие друг на друга. Но русский язык: совсем другой язык для меня. Тогда я решил попробовать его.”

 Я понял его мысль. А я думал. “Какой язык похожий на японский язык?”

Конечно, во первых, кореский язык. И во вторых ,,,,,,?
Китайский? Монгольский? Или даже турецкий?

К сожалению я не знаю. К сожалению я не могу говорить все эти языки. Но не только я, но и обычные японцы не могут. И не только японцы, но кореецы, и китаецы тоже не могут обычно.

Между Европой и Азией есть такая разница. И в Европе есть евро. А в Азии такого общего денег совсем нет.

Я не могу сказать, что это хорошо или плохо. Но когда я разговариваю с европейскими студентами, я чувствую такую разницу. И часто начинаю думать. Особенно ночью, как сейчас.

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А Россия? Одна русская подруга написала “Россия – это не Европа, и не Азия”.

Да, точно! Поэтому я интересует Россией.

今日(3日)は9月最初の平日だ。新しい個人授業の先生となり、また、新しいグループでの授業も始まった。このグループは、以前のグループよりも難しい。でも大丈夫だ。このグループで教えている先生をよく知っているから。彼は賢く経験豊富だ。

クラスの後、私はドイツ人学生と少し話した。ロシア語の勉強を始めた理由を彼に尋ねた。
(これは、ロシア語を学ぶ学生への最も一般的な質問だと思う)

いくらか考えた後、彼は言った。

「ぼくはもう、英語、フランス語、イタリア語で話すことができる。互いに似ているからね。でも、ロシア語はぼくにとって全く異なる言語なんだ。だから試してみることにしましたんだよ」

 私は彼の考えを理解し、思った。「どのような言語が日本語に似ているっけ?」

もちろん、第一には韓国語(朝鮮語)だ。そしてまた、、、、、、?
中国語?モンゴル語?はたまたトルコ語?

残念ながら、私にはわからない。残念ながら、私は全てのこれらの言語を話すことができない。しかし、私だけでなく、大抵の日本人は話せない。そして日本人だけでなく、韓国人、中国人もまた、大抵は話せない。

ヨーロッパとアジアの間で、そのような違いがある。そしてヨーロッパには、ユーロがある。一方、アジアにはこのような共通のお金はない。それが良いとか悪いとか言うことはできない。しかし、ヨーロッパの学生と話すとき、こうした違いを感じる。そして、しばしば、考え始める。特に深夜、今のように。

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で、ロシアは?

あるロシア人の友人はこう書いている。「ロシアは欧州でもないし、アジアでもない」。そう、その通り。であるがゆえに、ロシアに興味をひかれるのである。