モスクワの「上野公園」へ行ってきた。クレムリンの南、モスクワ川のほとりにトレチャコフ美術館新館がある。公園が広がり、近くには芸術大学もあって、東京で言えば上野の森にいるような気分になった。
トレチャコフの新館は二十世紀ロシア美術を専ら展示している。
ロシア革命前、革命後、大祖国戦争、スターリン批判、雪解け、ソ連崩壊といったそれぞれの時代の絵画や彫塑作品が時代順に並んでいる。シャガールやカンディンスキーの具象画も面白い。革命後の労働者や政治指導者がモチーフの絵画、彫刻はすこぶる面白い。そして、ソ連崩壊後のシニカルな絵なども心惹かれる。買い物の後に行ったので、時間が足りなかった。
美術館は彫刻公園の中にある。こちらもスターリン像などソ連色が残っていて面白いらしい。
さて、上野公園で美術鑑賞のあとは、キムチ横丁で韓国料理と行きたい所。ここモスクワ版の上野では、地下鉄二駅で北朝鮮国営(らしい)レストラン「高麗(コリョ)」へ行こう。
昔のデパガのような制服を着た北朝鮮人のウエイトレスたちがきびきびと働いている。ロシア語もうまい。化粧は濃い目。ちゃんとしたキムチやナムルが食べられるし、チヂミは日本で食べるよりもうまい。そして、締めは平壌冷麺。こちらも蕎麦の実をつかった黒い細麺のこしが絶妙だし、スープの辛さもちょうど良い。加えて比較的お財布にも優しい。
北朝鮮歌謡を聞きながらの食事は乙なものだ。注文のとき、「日本人でしょ」と言われた。分かるものなのだな。逆に、昼間には近所のショッピングモールで、灰色のスーツに赤旗のバッジを付けた高校生くらいの若者グループを見かけた。間違いなく北朝鮮の子たちだろう。
北朝鮮の公的な存在感。これは「西側諸国」にはあまり無いものかもしれない。
※東西が統一したドイツは例外的なようだ。
◆北朝鮮:ドイツ舞台に米と非公式接触